2010年4月23日金曜日

知的所有権の考え方を習得しよう


知的所有権の考え方を習得しよう

1  知的所有権とは何か

発明など精神的創作努力の結果としての知的成果物を保護する権利の総称。

知的所有権は、土地所有権のような物権(物に対する権利)、貸金返 還請求権のような債権(他人にある行為を請求できる権利)とならぶ財産権の一種であるが、知的成果という目に見えない財産(無体財産)である点でこれらと 大きく異なります。

知的所有権
著作権(表現を保護)
特許権(技術的なアイデアを保護)
実用新案権(技術的なアイデアを保護)
意匠権(物品のデザインを保護)
商標権(商品やサービスのマークを保護)                │

2  著作権とその保護について

皆さんが学生生活を送る時に注意しておく知的所有権に「著作権」があります。

これは皆さんが本や雑誌、音楽な どの情報を何気なく利用する場合、無意識のうちに著作権を侵害している場合があるので注意が必要です。

著作権は文化の発 展を目的とし、音楽、絵画、小説、映画、コンピュータ・プログラムなどの著作物を保護することを目的としています。

著 作権法では著作物を「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」(著作権法第2条1項)と定義し ています。

我 が国では、著作権は特許権などと異なり、権利の取得にあたって登録の必要はなく、著作物を創作した時に自動的に権利が発生します。

「著作権」を簡単にいうと、著作物を利用しようとする人に、著作権者が利用を認めたり(許諾)、禁止したりできる権利です。

したがって、著作権法で認められている例外を除いて、著作物を利用する際には著作権者の許諾を得る必要があります。



3  著作権法で認 められている例外に ついて(一部抜 き出し)

①私的使用のための複製 法第30条 

②図書館等における複製)法第31条 

③教科用図書等への掲載 法第33条 

④学校その他の教育機関における複製等 第35条

⑤引用 法第32条


4  著作物の引用について

皆さんがレポートや論 文を書いたりするときに、出典を明らかにせず引用したり、丸写しにしたことはありませんか? 実はこのような行為は著作権の侵害に当たるのです。

著作権法第32条には「公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報 道、 批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。」とあります。

公表された著作物は引用可能ですが、一定のルールがそこには求められます。

つまり自己の論説を展開する上などで、他者の著作権を不当に侵害しない範囲におい

て、引用することが認められるのです。

引 用部分が本文と比較して圧倒的に大きい、またさしたる必要性もないのに、むやみに引用することは許されないと解されています。

著作権法において正当な引用と認められるには、公正な慣行に従う必要があり、判例によって公正な慣行とは以下の条件を満たすことであると言 われています。


①著作物を引用する必然性があり、また、引用の範囲にも必然性があること。

引用先が創作性をもった著作物であることが必要

例「次のような文章がある」として、あとは丸写しにしたようなものは引用には当たらず、むしろ盗作に近い。

②質的にも量的にも、引用先が「主」、引用部分が「従」という関係にあること。

③本文と引用部分が明らかに区別できること

④引用元が公表された著作物であること

⑤出所を明示すること(著作権法第四十八条)


①~⑤の注意を守って引用する場合は適切に行いましょう。